メモです。
最近(2024年10月頃)、念願の廃菌床(はいきんしょう)を手に入れられるようになりました。
それに伴い、今までぼんやりとしかイメージしていなかった「廃菌床を畑に入れると具体的にどういう仕組みで土壌改良されるのか?」について調べたので、それをここにまとめておきます。
廃菌床とは何か?
廃菌床=役目を終えた菌床のこと。
菌床=おがくずやコーンコブ(トウモロコシの芯を砕いたもの)に、シイタケ菌などを住まわせているもの。
つまり廃菌床とは、シイタケ栽培を終えた残りかすのことで、シイタケ菌などの残り+分解されずに残ったいくらかの有機物と考えられます。
もらってきた廃菌床を砕いてみると、細かい木片のようなものの間に、びっしりと白い糸のようなもの(菌糸)が見えるので、体感的にも間違っていないかと。
シイタケ菌とは
シイタケができる菌です。私がもらってくるのはシイタケ栽培をしていた廃菌床なので、その中にはシイタケ菌の残りがいるはずです。
シイタケ菌は、菌の分類によると木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)に当たるようです。
木材腐朽菌とはその名の通り、木材を腐らせる菌。
もちろん腐らせる云々は人間側から見た話で、彼ら(シイタケ菌)としては腐らせようとして腐らせているわけではなく、ただエサ(木材)を食べて生活しているだけです。
シイタケ菌は糸状菌
シイタケ菌は木材腐朽菌であり、同時に白色糸状菌(はくしょくしじょうきん)でもあります。
白色糸状菌とは、これまた読んで字のごとく「白い糸状の菌」、つまり自然農法界隈でよく出てくる「糸状菌」です。
厳密にどういう分類なのかは分からないので推測ですが、シイタケ菌を機能面で分類した呼び方が「木材腐朽菌」、見た目で分類したのが「白色糸状菌」なのだろうと思っています。
シイタケ菌は菌根菌ではない
これは特に私のイメージが曖昧だったところなのですが…
シイタケ菌は木材腐朽菌、つまり木材をエサにして生きている菌です。
植物の根と栄養交換をするタイプではないので、菌根菌ではありません。
つまりシイタケ菌は、糸状菌ではあるけど、菌根菌ではない、ということになります。
廃菌床は土壌改良にどう関わるか?
ではその廃菌床は、どのようなメカニズムで土壌を改良してくれるのか。大きく4つあるようです。
※ここでは”土壌改良=団粒化”と想定しています。
1:微生物の活発化
廃菌床を畑に入れる=有機物の供給=土壌微生物のエサの供給、です。
エサが供給されることで、土壌微生物の活動が活発化、彼らの出す粘着物質によって土壌の団粒化が進みます。
2:腐植質の生成
廃菌床が土中で分解される際、一部の物質は分解されきれずに土壌に残るらしいです(リグニンとか?)。
すると、その物質が腐植質(ふしょくしつ)と呼ばれる存在になります。
腐植質は分解されにくい有機物の塊ですから、長く土中に残る=長く微生物のエサになる?らしいです。
また、腐植質は粘性があるらしく、その粘性が土壌粒子を引きつけ、団粒化を促すようです。
※ 腐植質については、確か炭素循環農法のHPで「そんなに有難いものではない」といわれていた気がするので、↑が本当に土壌に、あるいは作物栽培にプラスなのかは分かっていないです。
※ 腐植質の働きを調べると、電荷とかの話も出てきてややこしいので、ここでの話は超ざっくりとしたものと捉えてください。
3:シイタケ菌の働き
廃菌床に含まれるシイタケ菌(などの糸状菌)も団粒化に貢献するようです。
土壌に供給されたシイタケ菌が、エサを求めて菌糸を伸ばすとき、その菌糸が土壌粒子同士を結び付けて団粒化が起きると言われています。
それは物理的な結合で、粘性物質などによる化学的な結合よりも、より強固で、より大きな団粒を形成しやすいとのこと。
ただ、シイタケ菌などの木材腐朽菌がいられるのは、そのエサ、つまり炭素分がある間だけなので、炭素が供給されなくなるとこの効果は期待できなくなるようです。
恐らく炭素循環農法でたびたび言及されているのは、この働きだと思います。
4:団粒化サイクルの生成
1~3の働きにより団粒化された土壌では、植物がよく育つようになります。
すると、植物の根と共生する菌根菌も増殖しやすくなります。
菌根菌自体も、粘性物質を出したり、菌糸を伸ばしたりするので、上記のような要領でさらに土壌の団粒化が加速、というメカニズムもあるようです。
まとめ
廃菌床を土壌に入れると
- キノコ菌と高炭素物質を土壌に供給することになる
- 高炭素物質は土壌微生物のエサになり団粒化を促す
- 食べ残しは腐植質として団粒化の助けになるらしい
- キノコ菌自体も団粒化を起こす
- 上記働きにより土壌改良がおこなわれると、菌根菌も増殖しやすくなる
ということが考えられるようです。