これも長年疑問だったことです。
緑肥はどのくらいの面積育てると、どのくらいの炭素分としてカウントできるのか?
もちろん、緑肥を育てる密度や緑肥そのものの生育度、刈り取る時期によって数値は変わってくるでしょうが、
どのくらいの面積で、どのくらいの生育具合で、どのくらいの時期に刈り取ったら、どのくらいの量になるのか?
は参考データでいいから知っておきたいなと。
で、調べて出てきたのがこれ。
廃菌床についての記事にある記述です。
生の現物1000kg/10a/1作、前後が標準的な量(自然林の循環量)。炭素量に応じ他の成分も循環するため、炭素量だけをみます。緑肥(登熟していない生)の収量を、仮に2500kg/10aとして炭素量を比較すると、緑肥と同じ炭素量です。
廃菌床 1000kg × 0.4(乾物比率) × 0.5(炭素比率) = 200kg緑肥 2500kg × 0.2(乾物比率) × 0.4(炭素比率) = 200kg緑肥は無理なく採れる量で作物と交互に栽培すれば、圃場外からの資材持ち込みなしで可能な量。廃菌床1000kg/10a/1作で緑肥の替わりをします。実証例では、現物800kg/10a/1作(3~4作/年)。土は確実に肥沃(団粒)化しています。
仮の計算ですが、2500kg/10a とありました。
これは水分やら他の成分やらを含んだ重さなので、それをざっくり比率で削っていったのがこの式。
2500kg × 0.2(乾物比率) × 0.4(炭素比率) = 200kg
乾くと2割ほどになり、さらにそのうちの炭素の比率が4割ほど、という計算です。
上記計算の緑肥が何の品種かは分かりません(恐らくイネ科)。
ただ、今(2024年3月時点)うちの畑で育てている緑肥はえん麦の「前進」という品種です。
えん麦について調べると以下のような情報が出てきます。
有機物供給:播種量 8 kg/10a の場合、出穂直前のエンバクに含まれる炭素量は約 190 kg/10a で、すき込み 1 年後に残存する炭素量は一般的な牛ふんもみ殻堆肥約 0.5t の 1 年後炭素貯留量と同等です。出穂後のエンバクの炭素量は約 310 kg/10a で、1 年後炭素貯留量は牛ふん堆肥約 0.8t 分に相当します。
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/ryokuhi_manual06_carc20200420.pdf(4ページ)
この資料だと出穂後の炭素量が310kg/10a とあるので、さほど違わないかなと。
うちのえん麦は、今のところ1a(100㎡)ほどの面積で育てているので、↑の計算に当てはめるとざっくり20~30kg ほどの炭素分が手に入る…はず。
で、じゃあこのくらいの炭素分が手に入ったときに、実際に土を変えていけるのか?という話で。
最初の引用では以下のようにも書いてありました。
『廃菌床1000kg/10a/1作で緑肥の替わりをします。実証例では、現物800kg/10a/1作(3~4作/年)。土は確実に肥沃(団粒)化しています。』
これはつまり、
廃菌床1000kg/10a/1作 で、緑肥2500kg/10a と同等の炭素量になりますよ。
そしてとある畑では、廃菌床を800kg/10a/1作(3~4作/年)使用して土を肥沃化させていますよ。
ということと思われまして。
緑肥(えん麦)は上手く育てられれば3100kg/10a ほど採れるらしいので、廃菌床800kg/10a を超えているんですが。
気になるのは以下の部分。
『800kg/10a/1作(3~4作/年)使用』
毎作ごとに廃菌床を入れている。
流石に緑肥をこのスピードで供給することはできないので、↑のような連作は叶わなさそうだなぁという感じです。
ですが、例えば緑肥→作物の交互作であれば、↑の連絡には劣るけど、確実に土壌改良しながら栽培できるのかなと考えると、少し希望が湧いてきます。
あ、あと、緑肥の種について。
毎年買うのは不経済だと思うんですが、すき込み適期は出穂後であって、それは登熟期(種が採れるタイミング)よりも前のようです。
なので、畑の一角にえん麦…というか緑肥の種採り用区画を1aほど設けて、そこは登熟させて種を採って、次いでにイネ藁も保存しておいて、みたいな運用を考えています。
1a でどれほどの種が採れるか分からないのですが、今年は2.5kg/1a ほど種をまいているので、まいた量の5~10倍くらい(7.5kg~25kg)は軽くとれて欲しいなぁと期待しています。