自然農とは、川口由一さんが提唱されている農の手法(考え方)です。
基本的な考え方
以下の三原則を基本にしています。
- 耕さない
- 草や虫を敵としない
- 肥料農薬を用いない
耕さないというのは文字通りです。畑仕事というと、鍬(くわ)で地面をザクザク掘り起こしているイメージがあるかもしれませんが、自然農ではそういうことをしません。人が手で耕すことはせず、その場に生えてくる植物の根に耕してもらいます。不耕起という用語で表現されることもあります。
草や虫を敵としないというは少し分かりにくいかと思います。これはむやみやたらと草を刈ったり、虫を駆除しようとしたりしないということです。もちろん作物の生育を阻害するレベルで草が生えていれば刈りますし、目の前で青虫が葉をかじっていたら潰すこともあります。ですが、世の多くの農家のように、欠片の雑草も許さないとかそういうことはありません。
草が生えていると、作物が使う分の養分を奪われてしまうんじゃない?と思われるかもしれません。こちらも、成長を阻害するほど草が生えていれば抜くこともありますが、適度に離れていれば執拗に抜くことはしません。
最後に肥料農薬を用いないについて。世の農家が一般的に使用しているような「化学肥料」や「農薬(除草剤や殺虫剤など)」は使用しません。また、有機農家が使用している「牛糞」や「鶏糞」などの有機肥料も使用しません。
ですが、作物の生育に応じて米ぬかや油かすを多少施すことがあります(自然農の本に書かれています)。これらは植物が直接養分とするものではなく、あくまで地中の微生物のエサとなるものですが、「肥料を用いない」というのは多少不正確な表現かもしれません。
以上が三原則の説明です。
原則以外にも
上記原則以外に、自然農では化石燃料を必要とする農機や、使用後にゴミとなるビニール資材等の使用を前提としていません。その姿勢が分かりやすく書かれている文章があったので、手元の書籍より引用します。
私達を、総ての生命達を存らしめる大切な環境を、決して汚染せず、壊さず、損ねず、有限の資源を浪費せず、処理不可能のゴミは作らず、かけがえのない大切な人々の心身を損ねることのない、安全で、さらに心身を健全に育んでくれる生命力豊かな作物を育てるに必要な方法技術を示すものであり、農を志す人はもとより、今日に生きる多くの人々の手に受け取られたい書でもあります。『自然農・栽培の手引きーいのちの営み、田畑の営みー(p.1-2)』著者:鏡山悦子 監修:川口由一 ※下線はあさみが付けました
ただ、川口さんの発信される情報を見聞きする限り、これらは農機やビニール資材の使用を禁じたり否定したりするものではないと感じます。川口さん自身は積極的に使用しないけど、他の人は各人の状況に応じて取り組めばいい、そんなニュアンスな気がします。
【参考】あさみえんでは、畑南側の一部区画を自然農用としています。その部分は、耕したり、土に何かを入れたり、ビニールマルチを使ったりということはしていません。生えてくる草を刈って敷いての繰り返しのみです。
ですが、それ以外の区画は炭素循環農法的な考え方に則って、おがくずを入れたり、枯草をすき込んだり、ビニールマルチを使ったりということをしています。
それ以外の特徴
あと自然農らしいことというと、畝立て(うねたて)でしょうか。畝とは作物を育てるために周囲に溝を切って土を盛り上げた部分のことです(写真)。
このように溝を切ることで、畝に過度に水分がたまることを防げます。植物にとって水分は不可欠ですが、有り過ぎるのもまた害があるため、このように溝を作って排水を図ります。
溝の深さはその畑の状況に応じて変わります。水はけの悪い土地であれば深く掘りますし、水はけのよい土地であれば浅く、あるいはほとんど掘らないこともあります。
(写真の場所は水はけがよいのですが、私が無知だったため深く掘ってしまったのです💦)
また溝を切ることで、通路を明確にすることができます。慣れていないと草と間違えて作物を踏んでしまうことがあるので、ハッキリと通路が分かることは大切です。
以上、大まかではありますが自然農の特徴を挙げてみました。この他にも興味深い知恵がたくさんあるため、興味があればぜひ調べてみてください。
(うちに見学に来ていただいても大丈夫です^^)