先日、5年ほど勤めていた学習塾(アルバイト)から解雇を言い渡されました。
「マスク着用義務」に関する問題だと私は認識しています(塾長は否定しますが)。
私と同じ様に、マスク着用義務に苦しんでいる人にとって、何らかの参考になればと思い、文字起こしを公開します。
なお、文字起こしのあとに、この解雇通告に至るまでの経緯を簡単にまとめました。
よろしければそちらも参考にしてください。
- 会話をそのまま文字起こししたため読点多めです
- あった方が読みすいかなと思ったところには「 」をつけました
- 雰囲気を伝えられればと思い[ ]で若干の状況描写しました
- 伝わりにくそうな部分は( )で補足しました
- 長=塾長を指しています
文字起こし
長:メモ見ました、で、色んな考え方あって、あなたがプライベートでどう過ごすかはそれは自由なので、全く言及するつもりはないんですけど、教室としては、科学的云々関係なく、こんなご時世なのでマスクの義務化は継続します。
でね、入退室時もそうだけど、マスクしないで入ってきて、外して帰って、授業中してればいいだろみたいに見えなくもない。
私:そのとおりです。
長:でしょうね。なので、身体のこと、いっぱい書いてくれたから、そういう事が起きても困るし、こちらとしてもそういったメンバーが一人でもいて、出入りに際して、保護者、生徒、我々みんなも心配な思いを、不安な思いをするのは嫌なので、すごく残念なんだけど、日付でいうと、1月7日付けをもってあなたを解雇します。
というのは、業務、マスクをせざるを得ない状況だと私は判断するので、科学的にどうのこうのは別として、社会的な時流として、今マスクをしないで授業をすることの方がよろしくないと私は判断するので。
ただ、そのことで、身体で色んなしびれが出ちゃったとか、障害が出てしまっても、それはあなたにとってよろしくないことだと思います。
ただ、それを「いいよいいよ、マスクをしないで」とは言ってあげられない。
それが現実なので、であれば、業務に関して遂行することは難しいのかなって判断しました。
なので、授業自体は今日が最後、ただ、予告の部分があるので、対価に関してはきっちり1ヶ月分、お支払します。
ただあなたが求めるような姿勢での授業は、これから受け持っていただけないと判断するので、残念ですけども、授業に関しては今日で終了。その話をちょっと伝えたいなと。
プライベートでさ、どう過ごそうとさ、何も言及するところではない。
ただ、社会の教室の効果があろうが今はマスク、みんながそれぞれ苦しい中でさ、しながら動いてるんです。
「マスクを僕はキツイです、国語の授業は無理です」(と言うけど)じゃあ他の授業はなんでマスクで平気なの?
私:辛いですよ。
長:辛いでしょ。辛いんでしょ。
私:嫌ですよ。
長:うん。
私:だってこれ(マスクの強制)、法律違反ですよ。
長:うん、違反だろうがなんだろうが、お願い事だから。そのお願いを…
私:お願いが強制になってるんです、分かっていないんですか?
長:お願いが強制、どうでもいいです。
で、この中で、そのお願い、強制でもいいです、それが出来ないよということであれば、ここで働いてもらわなくて結構です、ということです。
私:つまり僕はここで、授業をすること、マスクを出来ないんだったらあなたを解雇する、そういう話ですか?
長:ううん、あなたが言ってることを理解しきれないから、こちらとしてもあなたの体調を、なんかあったときに、「ほら見たことか、マスクしてるからこうなったじゃねえか」、と言われても困っちゃうし。
私:それはマスクをさせなければいいんじゃないですか?
長:でしょ、だからマスクはさせるんだって。
こんな時流だから。これが2年後3年後、そんなときもあったよねって、みんな外した生活をまたするんであれば。
だけど今現在、外して授業してください、いいですよ(とは)言えません。
私:これ(マスク)を着用させる根拠はなんですか?
長:え、世の中がそういう流れだからです。
私:え、みんながやってたらやるんですか?
長:違いますね。
みんながコロナ対策に関して、マスクをして、それぞれで、移さない、もらわないように、協力しながら生きてきましょうねっていう世の中ですよね、今は。
私:その方針がおかしいとは思わないんですか?
長:私は思わないです。あなたは思うんだよね?
ただ、あなたが思って、あなたがプライベートでやる分にはだから何にも文句はないし、どうぞって話です。
ここは、世の中の一端、社会の一部として、みんなで利用してる、みんなで学ぶ教室だから、一人でもそういう子がいたら、不安になる子もいるんです。
それはマスクをしてないって現実に対して。それがボランティア活動の一環で、時間を割いて、広い教室でだったらいいです。
そうではないので、あなたが言っているのは承れない、できません、(授業を)お願いできませんってことです。
子どもたちを預けられないってことです。
私:要するにそれはつけてないんだったら、授業はもたせられないってことですよね。
長:要するにとかじゃなくて、今言った通りです。
[沈黙]
長:じゃあなんで世の中の人達はマスクしてるんだってなるじゃない?
私:自分で調べないからじゃないですか?
長:うん、じゃあ、世の中に対してそれをさ、あなたが発信したりなんかして世の中が変わってくって、変わってきてる状況があるんならいい。
どの立場で、その私見をみんなに伝えているわけ?私にもそうだけど。どの立場で物を言ってますか?
そんなにあなたが言ってることは正しくて、世の中に、世の中が間違ってるって言い切れるんだったら、世の中変わってるはずじゃない。
そんなにご意見があって、自分で調べればいいって、で、マスクしないのはアレなんだ。じゃあ、政府でもなんでも働きかけてアクションすればいいじゃないですか。
正しいか正しくないかを説いてるわけじゃないんです。
私:それがこの塾のスタンスなんですか?
長:この塾の…
私:子どもに物を教えるスタンスなんですか?
長:逆です。あなたみたいな人に子どもに教えてもらいたくないです。
私見を子どもに押し付ける、とは言わないけども、私見をあたかも当たり前のように伝えるのは止めてほしいんです。
私:有害なもの(マスク)を子どもたちに強制しているっていう方がよっぽどおかしいと思いますけど。
長:子どもたちはこちらから強制することなく、社会のマナーとして、保護者生徒はつけてきてくれています。先生方もそうです。こちらからマスクしてこいよ、言ったのはあなた(に対して)だけです。
私:それはおかしいですよね?
長:おかしいかどうかは分かりません。
私はエチケット、マナー違反だなと思ったから、一番初めにお伝えした次第です。
私:エチケットとかマナーって何ですか?
長:[笑う]このご時世で言うところの不愉快な思いを相手にさせない、不安な思いをさせないためにマスクをすること、今回のテーマで言えばそこだけです。
私:そういう発想の大人がたくさんいるから子どもたちは今苦しんでるんだと思うんですけど。
長:みんなが苦しんでます。
私:いや、苦しめてる。
長:いや、だからあなたが苦しめてるって思うだけで、子どもたちが苦しめられてるって話ですか?
子どもたちから苦しいよって言われたら「そうか」と思います。
私:「そうか」と思ってどうするんですか?[無視されます]
長:あなたから言われてるだけです。
子どもの代弁者を気取らないでください。
どうしても、あなたにこの子どもをお願いしたくて、こちらが頭を下げて働いてくださいと申し上げているのであれば、色々、色々時間を工夫するだったり、マスクをしないで一対一で授業ができるようにだったり、する可能性はあります。
ただそういう状況ではないっていうことです。
[沈黙]
私:社会が着けなくなったら着けなくなるんですか?
長:社会が着けなくなって、みんなが元の生活で大丈夫だよねってなった場合は…
私:「(大丈夫に)なったら」ってどういうことですか?
長:そういう時流になったらです。
私:時流ってなんですか?
長:世の中の流れです。
私:世の中の流れ?
長:マスクを付けなくていいよってなったらです。
マナーとして電車乗るとき、バスに乗るとき、お店に入るとき、マスク着用してくださいねって言われなくなったらです。
その流れが大多数で本当にもう大丈夫なんだねって、あなたが言う科学的根拠も認められましたねって、大丈夫ですねってなったら外して授業をします。
それがいつなんでしょうっていうのは、私は分かりません。
分からないので、外していいよとも言えないですし、あなたは不快な思いで働いて、万が一のことがあっても困るので、残念ながらという話をしています。
私:一度でもこれ(マスク)の効果について調べられたことあるんですか?
長:ないです。ないですというよりも、調べたことはありますよ。調べた事自体はね。
その数字を見ても私は分からないので、どれくらいの効果があって、それは専門家が発表されてることを聞いて「ああ、そうなんだな」と思うレベルまでです。
それを見て正しいか間違っているか、根拠があるかないか、そういうところまでは追っかけてません。
そういう意味では調べてないです。
見聞として見たり聞いたりっていうレベルのものはあります。
私:文部科学省も厚生労働省もこれ(マスク)強制なんて一言も言ってないんですけど。
長:うん、うちはこれは不安が、不安視する声があるからお願い[強調して]をしています。みんなには。
ただ、お願いをするまでもなく[笑う]、みんな着けて来てくれてます。
私:お願い聞く必要はないですよね、だってお願いなんですもんね。
長:うん、お願いだもんね。
「それを聞いてるからいいじゃないか」、だからそれが一緒に働くメンバーとしてふさわしくないっていう判断もします。
私:ってことは今のは、マスク着用のお願い、お願いを聞けないんだったら一緒に働けない(ということですよね?)。
長:それはすごいね、何て言うのかな、自分の解釈を色んなところ、美味しいところじゃないですけど、かいつまみ過ぎじゃない?
私:発端はだってマスクなんですよね。
長:[笑う]発端はマスクなんですよね?、発端はあなたの身体を心配したことです。
私:ああ、物は言いようってやつですね。
長:お互い様だね。
[沈黙]
長:マスクのことが1つ、それと今の会話もそうだけど、コミュニケーションを上手くはかれなくなってる。
「僕はこう思う、社会はこうだろう、お前は何を考えてるんだ」、そういうところで、時間を使いたくないんです。
子どもたち、将来のため、どうする、ああする、そっちに時間を使いたいです。
なので、マスクがどうのとかね、何だっていうので、時間、奪われたくないんです。お互いに。
であれば、お願いすることも難しいし、身体のこともあって色々思いもあるんでしょうから、ここでの授業は、もうお願いできないかなっていう初めの話です。
私:分かりました。
===
以上です。
このあと、以後の入室にかかる制限の話や、私物の持ち帰りの話がありました。
経緯
上記だけだと不明部分があると思いましたので、解雇通告へ至るまでの経緯を紹介させていただきます。
2020年4月
緊急事態宣言発令に伴い休校。
2020年5月
休校延長。
5月7日から授業再開の予定でしたが、5月6日22時にメールで休校延長の連絡が来ました。
2020年6月
授業再開+授業中のマスク義務化
ここでひと悶着起こりました。
それまで塾には備品としてのマスクがありました。
2019年以前、必要な講師はそこからご自由にどうぞ、というスタンスです。
私は日常生活で一切マスクをしておらず、強制される塾のみでの着用でした。
強制されるのは非常に不愉快でしたが、じゃあ授業させないと言われても困るので、着用には従うことにしました。
そこで、これまで通り備品のマスクを使用しようとしたところ、「自分で持ってきなさい」「社会のマナー、常識だ」と叱責を受けました。
普段の生活で着けていない→着用するのは塾で強制されるから→だから塾で用意すべきだろう、という説得を試みましたが聞き入れられませんでした。
結局、その後はマスクを持参しなくてはならなくなりました。
なお、マスク着用は「授業中」という指定でしたので、教室への入退室時は着けませんでした。
マスク着用義務化以前は、かなりの頻度で授業を入れ、献身的に働いていたと自負しています。
ですが義務化以後は、塾に行くのが精神的に苦痛になり、稼働日数を減らしていました。
余談1
このときに言われた、 「言いたいことがあるならどうぞ、聞くだけは聞きますよ」 というセリフは今でも忘れられません。
余談2
再開後から、教室に「マスクは必ず着用すること」というポスターが貼られるようになりました。
余談3
2020年7月ころ、私の担当生徒がマスクを忘れてやってきました。
私は「全然構わないよ」と授業していましたが、見回りにきた塾長が新品のマスクを机にトンと置き「これ着けろ」と命令形で言葉を放っていました。
2021年春
週に1回、英語の授業を担当するだけになりました。
中学3年の生徒で、小学校から教えている子です。
色々あって、一家で私のファンになってくれています。
2021年夏
夏期講習で国語の入試対策を担当しました。
私の国語の授業は、文章をガンガン読み上げて解説するスタイルです。
マスク着用状態でのその授業は非常に息苦しく、まるで水泳の潜水をしているような辛さがありました。
そのときに、もう国語の授業は受けないと決心したのです。
2021年11月末
冬期講習に向けて、講師のスケジュール表の提出を求められました。
その提出の際に以下のメモを残しました。
「夏期講習で痛感しましたが、マスク着用での国語の授業は酸欠、頭痛、手足のしびれ、倦怠感、胸のむかつき等、身体に非常に負担がかかります。ですので、現在行われている科学的に逆効果なマスク着用強制を継続される場合(撤回していただけない場合)、国語の授業はお受けできません。」
2021年12月8日
授業後に呼び出され、解雇通告を受けました(冒頭文字起こし)。
12月1日にも授業はありましたが、そこでは何も言われませんでした。
授業後の告知だったため、先に紹介した中学3年の生徒にお別れも言えませんでした。